皆さんこんにちは。店長おのマッキーです。こころ通信も今回で120号となりました。感謝申し上げます。
昨年の春に巣立った娘もまもなく一年が経過します。。受験から開放され、自由な独り暮らし、新しい仲間との出会い、様々な初めての経験と、お祭りのような一年だったようです。そんな娘そして同年代の若者たちは将来に向けてどんな夢を描いているのでしょうか。
先日、ある講演を聴きました。講師は私と同世代の北海道の経営者。植松務氏。産業用のマグネットを造っています。その傍らで宇宙開発ということでロケット作りもしているという興味深い経営者です。 彼は、「夢ってなんだろう?」って、ずっと考えてきたそうです。そして、小学6年生のとき、自分の夢を書く卒業文集で、「自分の造った潜水艦で世界の海を旅したい」と書きました。彼は潜水艦が大好きでした。ところが、この作文を書いた後、職員室に呼び出されてしまったのです。
先生は、「他の子はちゃんと仕事のことを書いているのに、どうしてお前だけこんな出来もしないようなことを書くんだ」と。
先生は「これにはすごくお金がかかるし、どうせ無理なんだよ。」と続けました。
彼は小さい頃からの本好きで、よく読んでいた図鑑には、人類最古の潜水艦も描かれていました。その潜水艦にはエンジンもモーターも無く、中に乗った人がスクリューを手で回して進んでいくというシンプルなものでした。本から、彼はこの事実を知っていたので、自分にもきっと造れるだろうと素直に想い夢に描いたのです。 ところが、この事実を知らない先生は「潜水艦なんてお前に造れるわけがない」と言い張ったのです。
「どうせ無理!」というこの言葉がとても恐ろしい言葉であると彼は強調していました。自信と可能性を奪う最悪の言葉だと。そしてその怖さはもう一つ。自分のことに関してこの言葉を唱えただけで、もう何もしなくてよくなってしまう、とても楽で簡単な言葉なのです。簡単にあきらめられてしまうようになるのです。目標や夢に向かって、出来るための方法を考えるのではなく、できない理由を考え、そのまとめの言葉が「どうせ無理。」なのです。使い続ければあきらめ癖、負け癖がついてしまいます。気をつけなければなりません。特に子育てには絶対禁句です。
小学生の彼はとても悩んだそうです。そして彼は疑問に感じました。夢は、すでにこの世にある仕事の中からしか選んじゃいけないのか? だとしたら、どうやって新しい仕事は生まれてくるのか? そして、できそうな夢しか見ちゃダメなのか?
小学生、中学生、高校生の頃にできることなんてたかが知れています。そんなわずかな出来ることから未来を決めろと言われても、困るなぁと思ったそうです。
彼は悩みに悩んだ結果、「夢とは、今できないことを追いかけることなんじゃないのかな」と思ったのでした。
それでは、その夢の実現のために「どうせ無理」に対する素敵な言葉はというと、これも講演の中で彼が教えてくれました。その言葉は「だったら○○してみたら!」だそうです。もしみなさんのお子様やお孫さんやお友達が夢を語ってくれたら、「そうなんだ。すごいね。だったら○○するといいよ!」と応援のアドバイスをしてあげて欲しいと彼は熱く語っていました。「それなら○○さんが詳しいから聞いてみれば!」とか「この間、そのことに関するこんな本が売っていたよ!」とか。。。
皆が夢を語り、その夢に対してみんなが応援してあげることで、あきらめる人が減り、世の中はもっと良くなると彼は語りかけています。あきらめ癖がついた状態で生まれてくる人はいません。何かの機会にあきらめることを覚えてしまうのです。そしてそれを繰り返すうちに自信をなくしてしまうのです。自信をなくした人はお金で自信を買ってみたり、なにかと自慢したり人を見下したり。更には人の努力の邪魔をしたりすることで自分と人を誤魔化すのです。
講演の最後に彼は、人は足りないところがあるからこらこそ助け合えるのだと教えてくれました。だから自分の未熟なところ、足りないところを責めることも卑下することもないんだと。私は今年50歳になりますが、足りないものだらけでついつい自分を責めがち。このことを教えてもらって気持ちが楽になりました。それでも、夢や目標に向かって生きていけばいろいろなことがあります。
失敗やトラブルだってあります。辛い、苦しい、悲しい、恥ずかしい、申し訳ない・・・。いろいろな気持ちになるはず。でもそんなときは自分に次の言葉をかけて自分励ましてください。 それは
「ただいま成長中!」だそうです。これまた素敵な言葉だと思いませんか。
春はスタートの季節。いろいろな人が希望を胸に歩き始めます。お互いの夢を応援しあえたらとてもその歩みは楽しく力強いものになるはずです。 裕
(一部を植松務講演録 より引用。)